獅子舞〜奥武蔵・秩父の旅


埼玉県は獅子舞の宝庫とも言われ、特に奥武蔵から秩父地方にかけては数多くの獅子舞があります。無形文化財に指定されていて多くの観客を集めるものもあれば、集落で地道に舞い継がれているものもあります。
雌獅子隠しのようにあちこちで披露されるメジャーなものもありますし、珍しい独特な舞もあります。
笛による音楽も微妙に異なっていたり、長さも土地によってまちまちですが、中には峠を越え山を越え伝承されていくことも多く、いにしえの人々の交流を思い浮かべることができます。
吉田町・諏訪神社(4月3日)
吉田町久長元郷にある諏訪神社の祭礼。鉢形城落城の後に居着いた人たちにより、始められたと言われています。ちょうど裏手の山ではかたくりの花が季節でした。かわいい子供たちだけによる舞もあります。『小さい子は一晩の稽古で踊れるようになった』と地元の世話役の人が話していました


飯能市・我野神社 川瀬と獅子舞(7月最終土曜)

我野神社の夏祭りでは川瀬の神事もおこなわれ、夜の帳が降りた後、高麗川の河原でも獅子舞が舞われます。
写真: 1999年撮影



横瀬町芦が久保・白髭神社の獅子舞(8月16日)
芦ケ久保駅近くの白髭神社境内で奉納されます。埼玉県指定無形民俗文化財。(9時〜18時頃)
竜源寺の住職であった越後出身の僧侶から宝暦2年(1752年)に伝えられたと言われ、飯能の北川、南川の獅子舞はここから更に伝承されたものとされています。演目は幣懸り/眠忍び/蛇懸り/十文字/花懸り/雌獅子隠し/竿掛り/白刃からなります。
竜源寺にてこの獅子舞を伝えてくれたことに感謝の舞を奉納した後、白髭神社へと向かいます。明るい笛の音は奥武蔵のそれとは違った雰囲気を感じさせます。
写真:2000年撮影
参考資料:郷土出版社刊秩父の祭り

花笠の周囲を舞う華麗な『花掛り』

ユーモラスな仕草が特徴の『蛇掛り』

『十文字』では神社に駆け上がるという見せ場があります
飯能市南川・諏訪神社獅子舞(8月17日)
午前と午後の2回あります。若者に伝授しながらの舞にほのぼのとした雰囲気が伝わってきました秩父浦山から天正年間(16世紀後半)に伝えられたものだそうです。撮影1996年


名栗村上名栗・檜渕諏訪神社獅子舞(8月17日)
終日おこなわれます。上名栗星宮神社から幕末の嘉永年間に伝えられ、ほぼ同じ内容だとのことです。参拝者と一緒になって本堂を巡る舞(願ささら)はこの地域では珍しいものです。比較的ベテランの方が多かったのは、やり手が次第に少なくなっているため、ということです。撮影:1997年


大滝村三峯・三峯神社獅子舞(8月25、26日)
三峯神社の末社である諏訪神社の祭りで奉納されます。 (獅子舞は26日の朝4時〜夕方頃
江戸時代末期に奥多摩の日原より伝来とされ、主な演目
1. 宮参り
2. 幣掛り
3. 弓掛り
4. 竿掛り
5. 花掛り等二組の三頭立てによるこの獅子舞はゆったりとした動きが特徴です。朝4時、まだ夜も明けぬ頃から舞が始まります。
写真:2000年撮影
参考資料:郷土出版社刊秩父の祭り
三峯神社

夜明けを迎える頃、諏訪神社にて
奉納される宮参り




中庭にてゴザを敷き、その上で舞うことから別名座敷ザサラとも呼ばれます。
名栗村下名栗・諏訪神社獅子舞(8月最終土日)

8月25日に近い土日。2日目が本祭りです。両日とも9時〜18時半頃。埼玉県指定無形民俗文化財。
長大な舞が多いのですが、ストーリー性と白刃に見られるような迫力にも富み、観客にも充分に楽しめる獅子舞として人気があり、多くの人で賑わいます。伝来は天保14年(1843年)に青梅市成木・高水山より。演目は御宮参り/ 御弊懸り/花懸り/三拍子/棹懸り/女獅子隠し/白刃からなります。
写真:1996年、1997年、2000年撮影
参考資料:下名栗諏訪神社獅子舞保存会作成パンフレット

名栗村観光協会サイト
高水山の獅子舞



男女の恋の葛藤を描く『女獅子隠し』の舞。2時間を要します


国家安泰。五穀豊穰、氏子繁栄を祈る
『三拍子』の舞

竹棹を川に見立て、3匹の獅子が渡る『棹懸り』

トリを飾る『白刃』では真剣を使用


『白刃』の緊張感と気迫は並みではありません。観客を巻き込んで盛り上がります
名栗村上名栗・星宮神社獅子舞(9月最終日曜)
5つの舞それぞれが30〜40分を要します。由来によると現存の獅子頭は350年前に奉納されたものを100年ほど前に再現したものだうです。今年(1999年)は笛に子供や女性達も加わり、賑わいを増していました。撮影:1996年、1999年

日高市野々宮・野々宮神社獅子舞(10月3日から9日までの間の日曜日)
起源は江戸時代初期にさかのぼるとのこと。ささらを男の子がやるなど近隣地域のものとは違った特色があります。蛇を雄獅子が飲み込むというこの舞も他では見られないそうです。写真:1996年撮影
野々宮の獅子舞


両神村・竹平の獅子舞(10月)
竹平地区の諏訪神社の例大祭です。(2002年より日程変更)3頭の獅子はそれぞれ大王、雄獅子、雌獅子となっています。午後1時から夕方暗くなるまでおこなわれます。地区の家々を回りその玄関先で舞った後、諏訪神社の境内で奉納し、五穀豊穰と悪霊退散を祈願します。


飯能市阿寺・諏訪神社獅子舞(10月10日)※日程要確認
吾野から徒歩1時間。顔振峠と越上山の間に位置する諏訪神社の例大祭。獅子舞の合間にはお神楽も催されます。(注:日程は祝日の変更に伴って変わっているものと思われます)撮影:1996年



越生町・住吉神社獅子舞(10月17日に近い日曜日)
越生町の山懐・麦原にある住吉神社の秋祭りで舞われます。両神村薄から伝わったと言われています。この日の演目は、四方掛かり、花掛かり。飛び抜け、雌獅子隠し、一ツ花。撮影:1999年

日高市・高麗神社獅子舞(10月19日)
出世・開運の神様として名高い高麗神社の例大祭で舞われます。午後1時から4時までおこなわれます。起源は徳川初期にさかのぼるとのこと。宮まいり、雌獅子隠し、願獅子、竿かかりの4つの舞があり、願獅子や竿かかりではかなり激しい動きが特徴です。飯能や名栗と違い笛の音もどこか明るく聞こえます。


秩父市浦山・大日堂の獅子舞(10月第4土日)
秩父市街地から車で30分の浦山の昌安寺と大日堂でおこなわれます。埼玉県無形民俗文化財。(2002年より日程が変更)
約450年前に奥多摩の日原より伝来とされています、ここの獅子舞は「願いざさら」と呼ばれ、参拝者(講中)の祈願をするという目的のための獅子舞です。よって時間によるスケジュールが決まっているわけではなく、参拝者がそろうと一サイクルの舞が行われます。一日目は昌安寺と大日堂(9時〜16時頃)、二日目は大日堂での舞の後、地区の家庭を獅子と共に回って悪魔払いの儀式をおこないます(9時〜17時頃)。
写真:1996、1999年撮影
参考資料:郷土出版社刊秩父の祭り他
民宿ささら・・・・秩父市浦山にある民宿。ご主人は獅子舞の舞い手です。

大日堂から昌安寺

剣をくわえた獅子舞は勇猛そのもの

悪魔払いは隈取りの形相に驚く子供も。秋田のナマハゲを思い起こします。
東秩父村・朝日根の獅子舞(11月3日)
東秩父村皆谷(かいや)八幡神社で舞われます。県道からくねくねの坂道を道なりにかなりあがっていきます。場所がややわかりずらく探すのに苦労しました。午前から夕方までおこなわれます。疫病を退散させるために嵐山(らんざん)町から招いて獅子舞を奉納したのが起源だと言われています。午後からも6つ舞があり短いものは15分程度、長いものは30分以上。人気はやはり真剣を使う白刃でした。



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